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THIRD STAR その10

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Third Star

Directed by Hattie Dalton
Produced by Kelly Broad, Vaughan Sivell
Written by Vaughan Sivell
2010 UK

ジェイムズ→J マイルズ→M デイヴィー→D ビル→B
()内は原作より補足しています。

ラストはオリジナル脚本でいってみましたがSivell文章、難しい・・・
映画にはない場面がありますが、スチールで公開されている場面もあるので
撮影はしたけど削除したのかもしれません。



その夜、今までとはくらべものにならないほどの壮絶な痛みがジェームズを襲います。
ジェームズは何とかデイヴィーを呼びますがモルヒネの入ったバッグがない事にデイヴィーが気づき、
ビルはマイルズと探しに行きます。
息もできないほど苦しむジェームズにただそばにいる事しかできないデイヴィー。


暗闇をライト一つで探し出したビルとマイルズがテントに戻るとすぐにモルヒネを飲ませます。
ジェームズの表情はすぐに和らぎましたが、その痛みはジェームズの体力をかなり消耗させました。

夜明け前。
テントで仮眠しているデイヴィーをマイルズが起こします。


テントにジェームズがいませんでした。
マイルズに尋ねると波打ち際までデイヴィーを連れていきます。
そこにはビルに支えられたジェームズが座っていました。
ジェームズはビルに頼んで連れてきてもらっていました。


ジェームズはひどく弱っていました。
彼らは月明かりに照らされたバラファンドル湾を見ていました。
あたりはクジラたちが交信する音に包まれ、静かな水面を打ち破り息継ぎをしています。
彼らはお互いに顔を見合わせ笑いますが無言でした。


ジェームズをその場に残し3人はテントの近くのたき火を囲んでいました。
彼らは夜の出来事に打ちのめされていました。
海を見ていたマイルズはビルに視線を移します。
ふたりはしばらくの間お互いを見つめ、気づいたデイヴィーも彼らを見ます。
マイルズはゆっくりとビルに頷くと再び海の方を見ます。
ビルはデイヴィーを見て、それからたき火を見つめます。
(あんな苦しみをこれ以上味合わせる事などできない、3人は決心しました。)

ジェームズはひとりで海岸に座っています。
寄せては返す波に海がきらめいていました。


3人はジェイムズを見ていました。
ジェームズがゆっくりと彼らの方を振り返ると笑顔を見せます。

早朝、ビルは立ち上がると目に涙をためながらジェームズに歩み寄ります。

J:僕たちまた会えるような予感がするんだよね。
B:俺たちはフリッカーライトの中で舞ってるただのチリだけどな。
J:元気でね、ビル。

微笑んだビルの頬を涙が伝います。ジェームズは心からの笑顔を見せます。

B:俺、震えてる・・・止められない。
J:ビル、ビル!・・・お前は強い男じゃないか!またすぐに会えるよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。


デイヴィーが来ます。彼はショックを受けていました。
D:こんなの無理だ。
J:キツイよね。でもお前も言ってたじゃないか。来て良かったって。
状況を考えればそれだけでもすごく価値があったんだよ。
ジェームズは彼を抱きしめます。けれどデイヴィーはジェームズを見る事ができません。
J:お前に愛される人たちが僕は羨ましいよ。


ジェームズはマイルズを見ます。

J:ありがとう。

顔を見合わせながら笑いますが次第にその笑顔は消えていきます。
その顔は幼く、そして脅えているようでした。

M:やるんだったらうまくやれよ。

突然、ジェームズから恐怖心が消えました。彼は笑って、そして海に向かって慎重に歩きます。
J:ここにいるとお前らも風邪をひくぞ!

ジェームズは海に入り浅瀬を泳いでいきます。
デイヴィーは泣き叫びながら首を振っています。
ジェームズは彼らを振り返りながら周りをゆっくりと見渡し泳ぎ始めます。


マイルズがポケットの中身を探るとわずかなコインと白い羽が出てきました。
彼はそれを見ると意を決したように投げ捨て海に向かって走り出します。

ビルがあとに続き遅れてデイヴィーも追いかけます。
ジェームズに追いついたマイルズは彼のすぐ近くを泳ぎ、反対側にはビルがいました。
泳ぎの苦手なデイヴィーは後方にいます。
ジェームズは嬉しそうでした。彼らは静かに泳いでいきます。


突然、デイヴィーがもがき始めます。
ジェームズたちは、何をふざけてるのかと顔を見合わせましたが
デイヴィーが本気で溺れているのがわかりビルが慌ててデイヴィーを救けにいきます。

その様子を見ていたジェームズとマイルズ。
ビーチに引き返すふたりに「ごめんね。」とジェームズ。



M:デイヴィーが先に死ぬとこだったぞ。

ジェームズは笑いますが突然苦しみだし浮いていることが出来なくなったので、
マイルズは自分の方へジェームズを引き寄せます。
落ち着きを取り戻したジェームズはマイルズの腕をほどき、立ち泳ぎをします。

彼らは少しの間、見つめ合います。
ジェームズの体力は消耗しきっていましたが力を振り絞ると自ら沈んでいきます。
マイルズはどうしていいかわからずにいました。彼はビーチにいるビルとデイヴィーを見ます。
そして上昇してくる気泡を見ます。静かでした

突然、ジェームズは水面から飛び出すとあえぎながらマイルズに手を伸ばしマイルズが手を取ります。
彼らは見つめ合い、そして笑います。しかし次第に笑顔が消えてきます・・・


M:お前のせいで今回の旅が台無しだよ。家に帰ろう?頼むよ。
ジェームズは悲しそうに首を振ります。
J:すまない。もし無理ならそう言ってく。
僕は出来る限り泳ぐ・・・できればひとりではなく一緒にいてほしいけど。
:ジム。俺は人とは違うんだと言ってるけど、そんな振りをしてるだけなんだ・・・
ジェイミー・・・見せかけてるんだよ。俺は怖い。何もかもだ。俺を気に掛ける奴なんて誰もいない。
J:マイルズ・デヴィッド・へクター・クラベル、お前は誰よりもすごい男だ。
お前にはヒーローの資質が備わってるんだ。逃げ出す奴じゃない。

マイルズは息ができませんでした。
ジェームズは彼にはできないのだろう事を見てとりますが何とか失望感を押し殺します。
J:マイルズ、お願いだ。これをやるのは恐ろしいかもしれないけど僕にとっては素晴らしい事なんだ。
ジェームズの頬に涙が流れ落ちます。ジェームズは深呼吸をします。震えで浮かんでいることができなくなっていました。
J:マイルズ!


マイルズは彼をしっかりと支えます。彼らはじっと見つめ合います。限界でした。
ジェームズは疲れ果て弱り切っていました。彼はビルとデイヴィーを見ます。
海を見て、そして空を見上げます。彼は解放されたように笑います。


彼はマイルズを見ます。マイルズも彼を見つめ続けています。
彼が身をこわばらせているのがジェームズにはわかりました。
彼らは熱い視線を交わし続けています。

J:我々は誰もが皆、夢を紡ぎながらこの短い人生を生きているのだ・・・
M:それは俺の父の最後の言葉じゃないか。
J:うん。お前の本を読んだから。

マイルズはわずかに頷きます。
彼はジェームズの肩をつかみ、そしてお互いを見つめます。


J: Godspeed

※Godspeedはアポロ計画の時に管制官が宇宙飛行士に贈った言葉で、
成功を祈る、とか幸運を祈る、とかそんな意味の言葉だそうです。

ダラダラとすみません。次で終わります。

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