「バスカヴィルの犬」
昨日はドイルさんのお誕生日だったんですね。
そしてジョンの誕生日でもあったそうです。
さて、
忘れられる前に、久しぶりにバスカヴィルの続きです。
魔犬を見ちゃったシャーロックですがヘンリーが見たでしょ?と言っても
頑なに見てない!とシャーロック。
ヘンリー宅。ジョンとふたりで戻ってきたヘンリー。
「彼も見たはずなのに。僕も見たんだから彼も見たはずだ。なのになぜだ?」
とヘンリーに「ヘンリー、座ってとにかくリラックスしよう」とドクターワトソン。
「大丈夫、大丈夫だから」
「ヘンリー、よく眠れるものをあげるから。いいね。」
「これはグッドニュースだよ、ジョン。僕は正気だったんだ。ハウンドは存在したんだ。
シャーロックも見たんだ。彼が見ていないと言ったって構わない。存在するんだ。」
そう言いながら祈るように手を合わせると同く手を合わせているシャーロックと重なります。
場面はホテルに変わります。
暖炉の前に座っているシャーロックのもとに来たジョンも座ります。
この場面はワンテイクで撮影したらしいですね。
特にセリフの多いベネディクト、この大変な撮影にゲイティスさんが暖炉のところに、
「Sorry, Benedict」とメモを貼ったとコメンタリーで仰っていました。
舞台をこなしているベネディクトなので長セリフもOKなんでしょうけど、
私だったら緊張して「スタート」の声を聞いた途端NG出してますね(笑)
そんなわけで、ファンの間でも有名なベネディクトの百面相(笑)と併せてセリフを網羅してみました。
随所に入るマーティンの表情も秀逸です。
「ヘンリーはかなり悪い状態だな。とても興奮していたよ。
ムーアに変異体のスーパードッグがうろついていると信じて疑ってない。
存在すると思うか?もしスーパードッグが作れるならとっくに話題になってる。
それで売りに出されてるだろ?それが商売だし。」
ジョンの話に無言のシャーロックですがジョンはそのまま続けます。
「あー、それよりさ、ムーアで誰かが合図しているのを見たんだ。
モールス信号だと思うんだけど。意味がよくわからないんだ。U, M, Q, R, A. 何か意味があるのかな」
まったく反応しないシャーロックですがジョン頑張って話し続けます。
「それで、今までの成果を確認しよう。ヘンリーが見つけたから足跡があるのはわかった。
あのツアーガイドもそう言ってたし。あとみんな何かを聞いた。・・・・犬の飼い主でも探すか?」
その時シャーロックがやっとぼそりと呟きます。
「ヘンリーは正しい。」
「は?」
「僕も見たんだ。」
「は?」
「僕も見たんだ、ジョン。」
「待てよ、何を見たって?」
「ハウンドだ。あの窪地で。巨大なハウンドだ。」
それを聞いたジョンはちょっと笑いますがシャーロックは真剣に瞬きを繰り返しています。
「なあ、シャーロック。もっと冷静になろう、いいか?君は他の誰よりも・・・・
今わかっている事に専念するべきだよ。いいか?事実に専念するんだ。」
「不可能を消去して残ったものが何であれ真実なんだ。」
「何?それ。」
グラスを持つシャーロックの手が震えています。
「見てくれ、僕は怖がってる、ジョン、怖いんだ。」
「シャーロック?」
「僕は常に自分自身とも距離を置いてきた。自分の感情とは離婚したんだ。だけど見ろよ。
身体が僕を裏切るんだ。面白いだろう?感情だ。The grit on the lens.(レンズに付着した砂?)
the fly in the ointment(計画を台無しにする)」
ここは「感情が何もかも台無しにするんだ」くらいの意味だと思います。
the fly in the ointmentはイディオムにありましたが、The grit on the lensがまったくわかりませんでした。
直訳でも何となく意味はわかりますが、どこかの諺なんですかね?
「わかったよ、スポック。だから落ち着けって。君は最近かなり神経が高ぶっていた。
自分でもわかってるんだろう?窪地に行ってちょっと興奮したんだよ。」
「興奮?」
「暗くて怖かったんだろう。」
「僕が?僕はどこもおかしくない。」
シャーロックは呼吸が荒くなり、こめかみに指をあてると苦しそうに呻きます。
ジョンが心配そうに「シャーロック」と呼びかけます。
返事がないのでもう一度呼びかけようとすると突然シャーロックが叫びます。
「僕はおかしくない!わかったか?」
ディナー中のゲストの注目を浴びつつ「証明しよう」とシャーロック。
その時のジョンの顔がすごーく怖いんですけど。
「僕たちは犬を探しているんだったな、バカでかい犬だよ、君の素晴らしいセオリーだ。
Cherchez le chien (フランス語で犬を探そう)いいね、素晴らしい。どこから始める?」
そう言うとシャーロックは後ろにいるディナー中のゲストを指さします。
「彼らはどうだ?感傷的な未亡人とその息子、失業中の漁師。答えはイエスだ。」
「イエス?」
「彼女はウェストハイランドテリアをウィスキーと呼んでいた。僕たちが探している犬じゃないな。」
「シャーロック、いいかげんに・・・」
「彼が着ているセーターを見ろ。新品だ。着心地が悪い。おそらく素材のせいだ。
さらに、ダサい模様なのはプレゼントされたことを意味する。おそらくクリスマス。
彼は母親に気に入られたいんだ。なぜか?ほぼ確実にお金だ。
母親にご馳走しているが自分の食事の量は少ない。
彼女に好印象を与えたいからだが自分の分は節約しようとしている。」
「腹が減ってないだけかも。」
「いや、前妻の皿を彼はきれいに舐めている。母親はパブロワ(クリーム人りのメレンゲケーキ)を
ほぼ食べ終わっている。もし彼女の奢りだったら同じものを食べていた。
彼はちゃんと空腹で、裕福ではない。袖と靴の状態で一目瞭然だ。
なぜ彼の母親だとわかったのか?あんなセーターを贈る人が他にいるか?
もちろん、叔母や姉の可能性もあるが母親の可能性のほうが高い。彼は漁師だった。
彼の手にある特徴的な傷は釣り針だ。傷は古い。失業中を示唆する。」
「この地域に仕事がないため彼は未亡人の母親に援助を求めた。未亡人?明らかだ。
彼女の首のチェーンには男物の結婚指輪がついている。彼女の亡くなった夫のもので彼女の指には大きすぎる。
上等な服を着ているがジュエリーは安物だ。もっと良いジュエリーのつける余裕があるのにずっとつけている。
センチメンタルだ。さて、犬だ。」
シャーロックは母親の黒いトラウザーに付いている犬の毛をみながら
「膝から下に毛が付着している、人懐こくて小さい犬、おそらくテリアだ。
ウィスキーと呼ばれるウェストハイランドテリア。どうやったらそれがわかるんだ、シャーロック?
彼女と僕たちは同じ電車で、僕は彼女がその名前を呼ぶのが聞こえたんだ、不正などしていない、聞いたんだ。
僕は自分の感覚を使った。ジョン、一部の人たちと違って僕は正常だ。それどころかすごく元気だ。
だから、僕の事は放っておいてくれ!」
その言葉を聞いたジョンは「そう、わかったよ。」と言い、
「なぜ僕の話が聞けない?僕は君の友達(friend)なんだよ。」と続けますが、
「僕に友達(friends)はいない。」とシャーロックが言うので、
「そうだな。なぜだろうね。」そう言ってジョンは席を立ちます。
ワンテイクの撮影という話を聞いて以来この場面が終わるたびにベネディクトに拍手したくなっちゃいます。
「カット」の声とともにスタッフも拍手したかもしれないですね。
昨日はドイルさんのお誕生日だったんですね。
そしてジョンの誕生日でもあったそうです。
さて、
忘れられる前に、久しぶりにバスカヴィルの続きです。
魔犬を見ちゃったシャーロックですがヘンリーが見たでしょ?と言っても
頑なに見てない!とシャーロック。
ヘンリー宅。ジョンとふたりで戻ってきたヘンリー。
「彼も見たはずなのに。僕も見たんだから彼も見たはずだ。なのになぜだ?」
とヘンリーに「ヘンリー、座ってとにかくリラックスしよう」とドクターワトソン。
「大丈夫、大丈夫だから」
「ヘンリー、よく眠れるものをあげるから。いいね。」
「これはグッドニュースだよ、ジョン。僕は正気だったんだ。ハウンドは存在したんだ。
シャーロックも見たんだ。彼が見ていないと言ったって構わない。存在するんだ。」
そう言いながら祈るように手を合わせると同く手を合わせているシャーロックと重なります。
場面はホテルに変わります。
暖炉の前に座っているシャーロックのもとに来たジョンも座ります。
この場面はワンテイクで撮影したらしいですね。
特にセリフの多いベネディクト、この大変な撮影にゲイティスさんが暖炉のところに、
「Sorry, Benedict」とメモを貼ったとコメンタリーで仰っていました。
舞台をこなしているベネディクトなので長セリフもOKなんでしょうけど、
私だったら緊張して「スタート」の声を聞いた途端NG出してますね(笑)
そんなわけで、ファンの間でも有名なベネディクトの百面相(笑)と併せてセリフを網羅してみました。
随所に入るマーティンの表情も秀逸です。
「ヘンリーはかなり悪い状態だな。とても興奮していたよ。
ムーアに変異体のスーパードッグがうろついていると信じて疑ってない。
存在すると思うか?もしスーパードッグが作れるならとっくに話題になってる。
それで売りに出されてるだろ?それが商売だし。」
ジョンの話に無言のシャーロックですがジョンはそのまま続けます。
「あー、それよりさ、ムーアで誰かが合図しているのを見たんだ。
モールス信号だと思うんだけど。意味がよくわからないんだ。U, M, Q, R, A. 何か意味があるのかな」
まったく反応しないシャーロックですがジョン頑張って話し続けます。
「それで、今までの成果を確認しよう。ヘンリーが見つけたから足跡があるのはわかった。
あのツアーガイドもそう言ってたし。あとみんな何かを聞いた。・・・・犬の飼い主でも探すか?」
その時シャーロックがやっとぼそりと呟きます。
「ヘンリーは正しい。」
「は?」
「僕も見たんだ。」
「は?」
「僕も見たんだ、ジョン。」
「待てよ、何を見たって?」
「ハウンドだ。あの窪地で。巨大なハウンドだ。」
それを聞いたジョンはちょっと笑いますがシャーロックは真剣に瞬きを繰り返しています。
「なあ、シャーロック。もっと冷静になろう、いいか?君は他の誰よりも・・・・
今わかっている事に専念するべきだよ。いいか?事実に専念するんだ。」
「不可能を消去して残ったものが何であれ真実なんだ。」
「何?それ。」
グラスを持つシャーロックの手が震えています。
「見てくれ、僕は怖がってる、ジョン、怖いんだ。」
「シャーロック?」
「僕は常に自分自身とも距離を置いてきた。自分の感情とは離婚したんだ。だけど見ろよ。
身体が僕を裏切るんだ。面白いだろう?感情だ。The grit on the lens.(レンズに付着した砂?)
the fly in the ointment(計画を台無しにする)」
ここは「感情が何もかも台無しにするんだ」くらいの意味だと思います。
the fly in the ointmentはイディオムにありましたが、The grit on the lensがまったくわかりませんでした。
直訳でも何となく意味はわかりますが、どこかの諺なんですかね?
「わかったよ、スポック。だから落ち着けって。君は最近かなり神経が高ぶっていた。
自分でもわかってるんだろう?窪地に行ってちょっと興奮したんだよ。」
「興奮?」
「暗くて怖かったんだろう。」
「僕が?僕はどこもおかしくない。」
シャーロックは呼吸が荒くなり、こめかみに指をあてると苦しそうに呻きます。
ジョンが心配そうに「シャーロック」と呼びかけます。
返事がないのでもう一度呼びかけようとすると突然シャーロックが叫びます。
「僕はおかしくない!わかったか?」
ディナー中のゲストの注目を浴びつつ「証明しよう」とシャーロック。
その時のジョンの顔がすごーく怖いんですけど。
「僕たちは犬を探しているんだったな、バカでかい犬だよ、君の素晴らしいセオリーだ。
Cherchez le chien (フランス語で犬を探そう)いいね、素晴らしい。どこから始める?」
そう言うとシャーロックは後ろにいるディナー中のゲストを指さします。
「彼らはどうだ?感傷的な未亡人とその息子、失業中の漁師。答えはイエスだ。」
「イエス?」
「彼女はウェストハイランドテリアをウィスキーと呼んでいた。僕たちが探している犬じゃないな。」
「シャーロック、いいかげんに・・・」
「彼が着ているセーターを見ろ。新品だ。着心地が悪い。おそらく素材のせいだ。
さらに、ダサい模様なのはプレゼントされたことを意味する。おそらくクリスマス。
彼は母親に気に入られたいんだ。なぜか?ほぼ確実にお金だ。
母親にご馳走しているが自分の食事の量は少ない。
彼女に好印象を与えたいからだが自分の分は節約しようとしている。」
「腹が減ってないだけかも。」
「いや、前妻の皿を彼はきれいに舐めている。母親はパブロワ(クリーム人りのメレンゲケーキ)を
ほぼ食べ終わっている。もし彼女の奢りだったら同じものを食べていた。
彼はちゃんと空腹で、裕福ではない。袖と靴の状態で一目瞭然だ。
なぜ彼の母親だとわかったのか?あんなセーターを贈る人が他にいるか?
もちろん、叔母や姉の可能性もあるが母親の可能性のほうが高い。彼は漁師だった。
彼の手にある特徴的な傷は釣り針だ。傷は古い。失業中を示唆する。」
「この地域に仕事がないため彼は未亡人の母親に援助を求めた。未亡人?明らかだ。
彼女の首のチェーンには男物の結婚指輪がついている。彼女の亡くなった夫のもので彼女の指には大きすぎる。
上等な服を着ているがジュエリーは安物だ。もっと良いジュエリーのつける余裕があるのにずっとつけている。
センチメンタルだ。さて、犬だ。」
シャーロックは母親の黒いトラウザーに付いている犬の毛をみながら
「膝から下に毛が付着している、人懐こくて小さい犬、おそらくテリアだ。
ウィスキーと呼ばれるウェストハイランドテリア。どうやったらそれがわかるんだ、シャーロック?
彼女と僕たちは同じ電車で、僕は彼女がその名前を呼ぶのが聞こえたんだ、不正などしていない、聞いたんだ。
僕は自分の感覚を使った。ジョン、一部の人たちと違って僕は正常だ。それどころかすごく元気だ。
だから、僕の事は放っておいてくれ!」
その言葉を聞いたジョンは「そう、わかったよ。」と言い、
「なぜ僕の話が聞けない?僕は君の友達(friend)なんだよ。」と続けますが、
「僕に友達(friends)はいない。」とシャーロックが言うので、
「そうだな。なぜだろうね。」そう言ってジョンは席を立ちます。
ワンテイクの撮影という話を聞いて以来この場面が終わるたびにベネディクトに拍手したくなっちゃいます。
「カット」の声とともにスタッフも拍手したかもしれないですね。